雪と虎
ゆっくり立ち上がり、テーブルに置いていた携帯を取った。
自分で行け、と言われると思って半歩下がれば、
「注文は」
「え?」
「八宝菜か、酢豚か」
わたしの好物の二択まで提示してくる。
「え、行って、くれるの?」
「お前が行けって言ったんだろ」
「やっぱり、いい」
首を振ったけれど、虎太朗は既に上着を羽織っていた。
「じゃあ八宝菜で」
「要らないってば」
「俺が食う」
そう行って出ていき、本当に熱々の中華を買ってきた。八宝菜と酢豚、ライスとスープ付き。
そこまでされて要らないとは言えず、虎太朗と共に夕飯にした。