雪と虎
「そんなこと、言わないでよ」
わたしは、ずっと。
ずっと、虎太朗を解放したいと思っている。
今だって変わらない。
「わたしは、そんなこと望んでない」
気付けば、出会ってから二度目の冬を迎えていた。
はらりはらりと雪が花びらのように降っている。
スノードームのような静けさと明るさに、校舎の中からそれを見上げた。寒いし、濡れるけれど、そんなに嫌じゃない。
宇佐川さんも山田さんも今日は自主休講という名のサボりで、わたしは一人講義を受けて夕方になっていた。
なるほど、構内に人が少ないのは雪が降っているからか、と漸く気付く。