雪と虎
そうすれば、普通に話してくれる、なんて。
「……うん」
虎太朗はそんなの、関係なく接してくれていた。
家のことを知っても、傍に居てくれた。
「依知」
後ろから腕を引かれて見上げる。
虎太朗が居た。
驚き、声も出せずに見ているとひらひらと手を振られた。
「目が」
「見えてる、ちゃんと」
それを退けて、尋ねる。
「なんでいるの」
「迎えに来た」
「頼んでない」
「依知には頼まれてない」
子どもの応酬だ。そういえば近くに森野くんがいた、と思い出す。
ばっとそちらを見れば、驚いたような怯えたような表情。