雪と虎
「要らない、もうすぐ止む」
しんしんと降り積もる雪。瞼の痛みも引いてきたので、それが分かった。
それでも虎太朗は聞かず、コンビニへ入って温かい飲み物を買った。
ぐい、とペットボトルの側面が頬に付けられる。温かい。
「これも」
カイロを手に握らされ、反対の手をまた掴まれる。
わたしは受験生か。
ちょっと笑っていると、きょとんとした顔を向けられた。
「至れり尽くせりだなと思ったの!」
「何も言ってない」
「表情が言ってた!」
「そんなことを言えるのは依知だけだ」
その言葉に赤くなるのが分かった。