雪と虎
「なんだその顔は」
「え、コタに顔のこと言われたくないんだけど」
その傷だらけで、あまり変わらない表情の顔に。
「わたしは何の言質を取られたの?」
「俺は死なない限りずっとお前の隣にいる」
「何それ、当たり前じゃない」
これまでもそうだった。
わたしが地元を離れたのに、虎太朗は来た。
道往く人々からの視線に気付き、わたしは手を離すけれど、虎太朗は再度わたしの肩に顔を埋めた。
合間に見えて顔が泣きそうで切なそうで、ぎゅっと力を入れられて内臓が潰されそうになって、わたしは振り解けなかった。