雪と虎
わたしたちは軈て離れて、歩き出す。
いつの間にか雪が止んでいて、街灯の当たる地面だけがぼんやりと明るかった。
傷の痛みは引いてる。
「帰ったら、お蕎麦食べたい」
「ん」
「温かいやつ。蒲鉾も」
「買わないとない」
「え、雪でスーパー閉まってる!」
「コンビニで買える」
「そうなの?」
「ああ」
ゆっくり進む。
何も大きく変わることは無い。
でも、わたしはこの日漸く罪を脱ぐことができた。
虎太郎が傍にいる限り。
足跡ひとつない雪も、少しは良いかも。
二人で、足跡をつけていけば。