雪と虎
隣高の奴等が青ざめ、足を縺れさせるようにして逃げた。
俺は振り向き、その姿を見る。
同じ高校の女子生徒だった。
肌が白く、倒れた雪の上で溶けそうだった。
目に当たったらしく、大量に出血している。血の色だけが鮮やかで、呼吸を忘れるほど、綺麗だった。
上着を脱いで、止血をする。
なんで、こんな場所に……。
「……大丈夫?」
静かに尋ねられた。くぐもった声だったが、ちゃんと聞こえた。
この状況でそれを尋ねるのか。
自分の方が、大丈夫ではないのに。
「ああ」
高校に行っても友人はいない。