離婚を申し出た政略妻は、キャリア官僚の独占愛に甘く溶かされそうです
佳乃はなにを言っているんだろう。
俺は、毎朝のキスの時に『本当は唇にしたい。あわよくば舌を入れたい』と邪なことを思っているし、洗濯物の佳乃の下着を畳んだ時にはきみがそれを着けた姿を想像して頭の中がピンク色に染まるし、風呂上がりのきみがソファで寛ぐ俺の隣にやってくると、濡れた髪の香りにあてられて反応した下半身をクッションで隠しているんだぞ。
反論は山のようにあったが、佳乃がそう思ってしまうに至った経緯を聞いて、納得した。
彼女の言う『欠点』とは、胸が小さいという身体的なものだったのだ。女性にとっては切実な問題なのだろうが、男にとっては……少なくとも俺にとっては、違う。
好きな相手の体の一部が大きかろうが小さかろうが、愛しくないはずがないじゃないか。
『かわいい。佳乃も、佳乃の胸も』
その夜、初めて目にした彼女の裸に感動と興奮を覚えつつ、佳乃を怖がらせないよう、宝物に触れるようにその体を愛し、溜め込んでいた欲望をぶちまけた。
……ハッキリ覚えているわけではないが、一回では済まなかったように思う。