離婚を申し出た政略妻は、キャリア官僚の独占愛に甘く溶かされそうです
私を尊重してくれる気持ちはありがたいけれど、離ればなれになるのは切ない。
そんな思いを伝えるように、首を後ろに動かし触れるだけのキスをする。
「離れたら、こんな風にキスがしたい時にできないんですよ?」
「あと一カ月ある。その間に、離れる間の一年分キスしよう」
「それってどれくらいですか?」
「……佳乃が欲しいだけ、あげるよ」
真紘さんが艶めかしく囁き、私の唇をふさいだ。
音を立て、絶え間なくキスを繰り返しながら、彼は私の体に巻き付いた布団を剥いでいく。おあずけになっていた甘い時間の続きだ。
「は……ぁっ」
「佳乃……好きだよ。離れたって、関係ない。ずっと俺だけのものでいて」
指を絡めて手を握り合い、寄せては返す波のように、体をぶつけ合う。
こんなに愛し合っているのにもうすぐ会えなくなるなんて、信じられない。
でも、受け入れなきゃ。出発までにたくさん愛してもらって、真紘さんの記憶をたくさん残すの。今の私たちならきっと……お互いを信じて待っていられる。
汗の浮かんだ広い背中にギュッと掴まり蕩けるような快楽を受け止めながら、私は自分に言い聞かせた。