離婚を申し出た政略妻は、キャリア官僚の独占愛に甘く溶かされそうです
「佳乃……楽にして、そう」
「あ、真紘さ――っ」
初めて彼の熱を受け入れた瞬間、少しの痛みと圧迫感を覚えたけれど、ようやく本当の夫婦になれたという気持ちで、胸は温かかった。昂る気持ちとともにいつしか痛みも消え、溢れすぎた蜜がシーツにこぼれる。
「佳乃。こんなになってもまだ、俺と離婚しようなんて思う?」
真紘さんがかすれた声で問いかけてくる。もったいつけるような動きをして、ふたりの間で弾ける恥ずかしい音をわざと聞かせながら。
「ん、できません……っ、真紘さんと離れるなんて」
「だよね。こんなに締めつけて、かわいい。……今の俺たち、まさに鍵と鍵穴の関係だ」
「やっ……ん、あぁっ」
お見合いでその話をした時は、エッチな意味じゃないって言っていたのに。
そう思うも、言葉にならずに啼かされるばかり。
こんなに本能的な一面があるのに、真紘さんはよく一年も羊の皮をかぶっていられたと思う。
しかし、私を大切にしてくれていた証拠だと思うと、どちらの彼も愛おしかった。