離婚を申し出た政略妻は、キャリア官僚の独占愛に甘く溶かされそうです

 彼にとっては、女性と恋愛するのも新しい言語を習得するのと同じような感覚なのではないだろうか。

 フランス語のように難しい言語を使いこなすのと、貧乳の妻を抱くのとは同じくらいのレベルのタスクなのかもしれない。

 ……それって、愛情なの?

「でも、根無し草みたいな真紘がちょっと心配な部分もあってね。結婚生活がうまくいってるのか気になっていたけど、佳乃さんが幸せそうでホッとしたわ。あの子と一緒にいてくれてありがとう」

 母親らしい、慈愛に満ちた表情で頭を下げられ、胸が詰まった。

 どこにも根を張らない真紘さんを引き留める力は、私にもない。

 だって、遠いギリシャへ出向する話すら聞かされていなかったんだもの。ギリシャに行ったら行ったで、彼は自分を必要とする女性をすぐ見つけられる。

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