誘拐婚〜ある日、白無垢が贈られて〜

「えっと……家事や育児に協力してくれないくせに偉そうに文句ばかり言うとか、洗濯物を脱ぎ散らかすとか、すぐ浮気したとか、生活マナーが悪いとか、体調が悪い時に労ってくれないとか、たくさん聞かされましたね」

「そっか……」

計は何かを考え始め、その真剣な表情に雅は話すのをやめ、海鮮丼が来るのを静かに待った。

おいしい海鮮丼を楽しんだ後、雅と計は店を出る。お会計は計が「先輩には甘えろ」と言い、払ってもらった。

「計さん、ありがとうございました。ごちそうさまです。午後からも仕事頑張ります！」

ニコリと計に雅が笑いかけると、大きな男性特有のゴツゴツした手で頭をポンポンと撫でられる。雅が突然のことに固まっていると、その顔を覗き込まれた。

「何も心配することはないからな」

女性なら誰もがドキッとしてしまいそうな笑顔で計は言い、何のことだろうと思いながら雅は曖昧に笑った。



午後からも雅は仕事にしっかりと取り組み、定時で帰宅した後は朝できなかった掃除を済ませ、洗濯物を片付けて、夕食を作る。