誘拐婚〜ある日、白無垢が贈られて〜
雅が恐怖を覚えたのはそれだけではない。計の目はいつもと同じ黒い瞳だ。だが、髪は何故か雪のように白く染まり狐の耳がある。服装は神前式を挙げる際に新郎が着る紋付き袴を着ており、お尻の辺りに九本の尻尾が生えていた。
「計さん、それってコスプレですか?アニメにそんなキャラいましたっけ?尻尾の生えた白髪の紋付き袴キャラなんて……」
いつも通りを意識しながら雅が訊ねると、「何言ってるんだ」とふわりと甘い笑みを浮かべ、計は口を開く。
「お前は、九尾の狐の一族である俺と結婚をするんだ。だからこうして花嫁道具を贈ったんだ。そして、これが俺たちからの最後の贈り物だ」
計がそう言って雅の前に出したのは、美しい白無垢だ。花嫁しか着ることのできない特別な着物である。
「な、何を言って……」
混乱し、縋るように壁際に後ずさる雅に計はゆっくり近付いてくる。
「妖は普段、この世界とは全く違う世界に住んでいて、気まぐれにこっちの世界と行き来できるようになっている。俺の家は妖の中でトップクラスの権力と財力を持っていて、この世界で言う大富豪だ。だから、生活に関して心配することは何もない」
「計さん、それってコスプレですか?アニメにそんなキャラいましたっけ?尻尾の生えた白髪の紋付き袴キャラなんて……」
いつも通りを意識しながら雅が訊ねると、「何言ってるんだ」とふわりと甘い笑みを浮かべ、計は口を開く。
「お前は、九尾の狐の一族である俺と結婚をするんだ。だからこうして花嫁道具を贈ったんだ。そして、これが俺たちからの最後の贈り物だ」
計がそう言って雅の前に出したのは、美しい白無垢だ。花嫁しか着ることのできない特別な着物である。
「な、何を言って……」
混乱し、縋るように壁際に後ずさる雅に計はゆっくり近付いてくる。
「妖は普段、この世界とは全く違う世界に住んでいて、気まぐれにこっちの世界と行き来できるようになっている。俺の家は妖の中でトップクラスの権力と財力を持っていて、この世界で言う大富豪だ。だから、生活に関して心配することは何もない」