美琴ちゃん、大丈夫?
「私なんて19回だったよ〜」
色素の薄い白い肌と茶色い髪、
スラッと長くて華奢な身体、
フワッとした儚い笑顔。
隣のクラスの、
「ハァ、ハァ…長谷川、さん。」
そっか。
今日は2クラス合同の体力測定だった。
「どうやったらそんな体力つくの?」
フワフワしたお花みたいな人で、
長谷川さんはいつも学力テストで学年上位を取る頭が良くて有名な人。
テストのたびに掲示板に張り出される順位は、どんなに頑張ってもいつも長谷川さんの下に名前が載る。
「えっと…たくさん食べて、たくさん動いたら、つくんじゃないかな…?」
薄いピンク色の唇に華奢な手を添えてクスクス笑う姿は、育ちの良さを思わせる。
「…?」
「真面目に答えるなんて面白いね、柊さん。」
「え」
…真面目に答えるところじゃなかったんだ。
私がどう反応したらいいか困ってると、どこかに行ってた優花が戻ってきて「はい美琴!これ持って!」とうちわを渡してきた。
何か書いてある。
がんばれ!
VE
…?
優花が持ってるうちわには、
唯くん、
LO
2つ合わせて読み上げてみる。
「…唯くん、がんばれ!LOVE…。」
優花のもう片方の手にはメガホン。
頭には蛍光色のハチマキで、走れ!唯くん!の文字。
「さぁ男子のシャトルラン、始まるよ!気合い入れて応援し
スコン!
「イテー!!」
優花のメガホンを取り上げたジャージ姿の唯が冷ややかな目で優花を見下ろしてる。
「やりすぎ。全部しまって。」
「ンなー!!??」
それだけ言ってメガホンを優花にポイッと投げた。
「えぇ…夜なべして準備したのに…グスン。」
「優花…どんまい…。」