美琴ちゃん、大丈夫?
校門を出て駅まで歩いて行く。


周りには同じ三年生たちだけで、それほど多くはない。











その中に、見つけてしまった。



私の前を歩いてる人のその前に





栗色の猫っ毛。




クラスの友達グループと楽しそうに話しながら歩いてる。


もう足がすっかりよくなったんだ…よかった。


そう思うのと同時に、時山君の隣を歩く女の子の後ろ姿に目がとまる。









ーーー時山君って好きな人いるのかな






それは、二週間ぐらい前の話。



廊下でたまたま聞こえたそのセリフに、つい聞き耳を立ててしまった。


女の子2人が小声でコソコソと話してはキャー!と盛り上がる、というのを繰り返してる。


「えーわかんないけど」

「リサならいけるって!可愛いし!応援してる!」



その時、少し頬を赤らめてはにかんでいた女の子が

今、おしゃれな外はねの髪を気にしながら時山君の隣を歩いてる。




「そんでさ、九条が真顔で『時山がやりました』って言って結局連帯責任になったんだよな」

「ひでー話だよなぁ。多分あれ、先生分かってたよな。」

「えーあはは!バカじゃないのー?」



女の子が笑いながら時山君の腕を触った。









何笑ってんの、時山君。


その女の子からいけると思われてるよ。


…なぜか時山君のヘラヘラした顔が、ムカつく。


すごくムカつく。


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