美琴ちゃん、大丈夫?
周りの浦高生達が私たちをチラチラ見ながら通り過ぎていく。



「え?」

「柊さんて日下部じゃなかったの…?」

「手、繋いでるよね?」

「え、あれ時山?やばくね?」



そんな声が聞こえて、私たちは慌てて手を離した。




「「…」」




…どうしよう。



まだ余韻の残る手を揉みながら、なんて言葉を出そうかぐるぐる考えて訳がわからなくなってくる。






「…キヨマサ。」





先に口を開いたのは、時山君だった。


バツが悪そうに私を見下ろす。




「いいの?」




「…っ」




時山君の眉間の皺を見て言葉に詰まった。


そうだ。時山君はここで誰かを待ってたんだ。


私がここにいたら邪魔なんだ。






「…柊さんの彼氏。行っちゃったよ。…喧嘩でもした?」





時山君は腕を組んで左下に視線を落とした。









…なにそれ。


てか、彼氏じゃないし。


あの日…保健室で言ったよね?


触らせたくないって


他の男に、キヨマサ君に触られるの嫌だって


言ったよね?


もう私には興味ないってこと?




さっき見たボブの子のことも手伝って、


私の中で沸々と何かがわきあがりはじめる。
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