美琴ちゃん、大丈夫?
「時山君」



声が震えちゃって、取り直そうと小さく息を吸って、吐いた。



「…」



ーーー時山君こそ、行かなくていいの?



「…」



ーーー時山君はここで何してるの?もしかして、また別の女の子を待ってるの?



「…」






…違う。

言いたいのはそういうことじゃない。




内に溜まっていくイガイガしたものを飲み込んで、私はもう一度軽い深呼吸をした。





「…あのね」




時山君は何も言わずに地面に目を向けてる。


私は縮こまりそうな背筋を必死に伸ばして言った。






「…私、キヨマサ君と付き合ってない。」






時山君の猫っ毛がピクッと揺れた。






「キヨマサ君も私も、恋愛感情持ってない。」






時山君が腕をほどいてゆっくり顔をあげる。







「だから……えっと……」





あぁ、どうしよう、この後の言葉考えてなかった。




「…」





時山君がもたれていた柱から体を離し、私に一歩近寄った。



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