美琴ちゃん、大丈夫?
周りの視線を意識して顔が赤くなっていく時山君の、その一生懸命なまなざしについ笑ってしまう。



「ッフフ。うん。しよう。デート。」




時山君が私の返事を聞いてバッと顔をそむけた。



「…かー、」



謎の鳴き声。


…ん?どっかで聞いたことあるな。



「あー…もう」



またさらに赤くなった時山君が、私の顔を見て言った。




「……可愛すぎ。」


「え……え!?」



つられて私も顔が赤くなっていくのを感じる。



「…俺、今日はもう気持ち隠すのやめる。うん。」


顔を煽ぎながら自分を納得させるようにそう言うと、時山君が照れくさそうに左手を差し出した。




「……手を…つなぎたい、です。」



そのごつごつした左手に、単純な私の胸がときめく。


全身が大きく脈打つのを感じながら、ゆっくり自分の右手を時山君の左手に乗せる。



…その時だった。




「ニャー」




「!」



ビクッとして手を引っ込めた私を、時山君が不思議そうに見る。



「どうしたの?」



「あ…えっと…」


私は時山君にどう説明しようか迷いながらも猫の姿を探す。



「ニャー」


「!」




いた。




私のすぐ、足元に、例の三毛猫。



…え、いつの間に?





「ニャーン」


私の足にすり寄って甘えてくる。


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