美琴ちゃん、大丈夫?
背中に聞こえた声に振り向いた。














誰も、いない。






さすがにゾッとしてベンチに急ごうとした時、




「フシューッ!」



子猫が自販機の上に向かって威嚇してる。





「?」




自販機の上を見てみるけど、何も見えない。



私が視線を送るのと同時に、子猫も威嚇をやめて私の足元へとやってきた。




「…どうしたの?」


「…ニャー」




子猫はやっぱり何か言いたそうに鳴いた。





ベンチに戻ると、ちょうど時山君もグッタリした様子で戻ってきたところだった。




私が買ってきた水を「ありがと」と力なく笑って受け取り、ペットボトルの蓋をまわした。


水を口に含んだ時山君の喉仏がゴクッと動く。





「…ッはぁー。…スッキリした。ありがと。」



時山君があどけない顔でフニャッと笑う。



「…かわい」



「え?かわい?…誰?」



「あっ」


…やばい、声に出てた。


「えっと、あの〜、あ!ごはん!ごはんにしない?うん、そうしよう!あ、食べれる?」


「う、うん?」


慌てて勢いでごまかす私に時山君はまんまとのせられて、
頭にハテナマークを浮かべながらも私にされるがままフードコートへと向かった。
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