美琴ちゃん、大丈夫?
フードコートであったかいうどんをすすり、だいぶ持ち直した時山君とこのあとの作戦会議を始めた。




「絶叫系はもうやめておこっか」


「…かたじけない」


時山君がなぜか武士のように謝った。


「全然いいよ。むしろ、ありがとう。面白かったし。」


「面白かった…?」


「うん」


また時山君の絶叫を思い出してフフッと笑いが込み上げる。



「…じゃあいっか」


時山君が頬杖をつきながら言った。



「うん。またいつか乗ろうね」


「…」


時山君は悲しいやら嬉しいやらわからない複雑な表情を浮かべた。




「うーん、となると…」



パンフレットのマップを追うと、現在地の近くにあるおどろおどろしいお化け屋敷の絵が目に入る。







「時山君は…お化け屋敷好き?」


「え?まぁどっちかというと…?」



…時山君は苦手なもの頑張って乗ってくれたんだ。

私も。



「時山君…お化け屋敷、行こう。」


「え?大丈夫?さっき苦手って…」


「時山君となら、行ってみたくなった。」


「…」


「…ん?どうしたの?」



時山君が私を見て固まってる。



「…なんか…俺ばっかキュンキュンさせられちゃってる。」


「え?」


「…よし!俺がお化けから柊さんを守る!はい!」


勢いよく立ち上がって左手を差し出した。


その言葉が小っちゃい子のセリフみたいに思えて、笑いがこぼれた。


「…うん。」


私は頼もしいナイトの左手に自分の右手を置いた。
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