美琴ちゃん、大丈夫?
そして私は早くも後悔していた。
「…本格的だね…」
私たちは今、お化け屋敷の目の前で立ち尽くしている。
病院風の建物はあまりにもリアルで、
ヒュゥ……という音が恐怖心を掻き立てる。
看板には髪の長い、黒目がない女の人の絵が大きく描かれてて
めっ
…
ちゃ、
こわい。
「柊さん。無理しなくていいよ。違うとこ行こうか」
首を横に振って時山君の左手をギュッとにぎった。
時山君と同じように、私も誠意を見せたい。
「…がんばる。」
声が震えてしまったので、時山君が心配そうに私の顔を覗き込む。
大きく深呼吸。
「…大丈夫。時山君、守ってくれるんだよね。」
「うん。任せて。」
2人で力強く頷いて、お化け屋敷の中へと入った。