美琴ちゃん、大丈夫?
そのあとゴーカートに乗って熱いレースを繰り広げた私たちは、完全に何かのスイッチが入った。
「…引き分けのまま終わるわけにはいかないね…?」
私は強く頷いた。
「もうひと勝負!」
「うん!」
シューティングゲームや光るボタンを押しまくる運動系ゲームなど、勝敗の決まりそうなアトラクションを片っ端から勝負していった。
2人とも本気の本気で挑むので周りから少し稀有な目で見られる。
途中小さな子供たちに口を開けて見つめられる場面があって、さすがにちょっと自粛した。
そして、
「あーッ、悔しい〜」
時山君が爽やかに笑いながらソフトクリームを渡してくれる。
「…ありがとう」
デートとは?と問いたくなるぐらいの本気の名勝負を繰り広げてしまって、ちょっと後悔する。
こういう時女の子って、負けて『時山君、スゴーイ!』って言うべきなんじゃ…?
「はー楽しかった!ね!」
そんな私をよそに、時山君が何の混じり気もない、心からのピュアな笑顔で言った。
「…うん。」
時山君が楽しそうだから、まぁいっか。
もしかしたらもう女として見られてないかもしれないけど…なんかどうでもよくなってきたなぁ。
「疲労感の中食べるアイスってどうしてこんな美味いんだろ。」
時山君がまた無邪気にアイスを口に運んでる。
なんか今日だけで随分時山君に耐性がついてしまった。
今朝なんて、姿を見ただけで心臓バクバクして体が熱くなるくらいだったのに
今隣にいて、かわいいなぁとは思うけれど
時山君のことを知るたびに、なんか今までとは違う感情を持つようになってきてる。