美琴ちゃん、大丈夫?
「…待って!」
時山君が私の手首を掴んで引き留めた。
「どこ………行くの……?」
時山君は分からないながらも何かを察したようで
受け入れられずに動揺した表情のまま、声を震わせる。
掴まれた手から、時山君の気持ちが流れ込んでくるような気がした。
私はその手をギュッと握り返す。
「…時山君。
たくさん…ありがとう。
たくさん守ってくれて、
助けてくれて、
…好きになってくれて、
ありがとう。」
不意に時山君の目から、一粒だけ涙が落ちる。
「……また会えるよね……?」
「……うん」
私は時山君の、まだ滑らかな手触りの手をそっと離した。
「…また、いつか」