美琴ちゃん、大丈夫?
おかえり
これからも、あなたと、この世界で。
…
右手が暖かい。
思えばずっと暖かかった。
何で気がつかなかったんだろう。
………ピッ、ピッ、ピッ、
最初に耳に入ったのは、何かの機械音。
それと、
すぐ近くで鼻を啜る人。
…眩しい。
目を閉じていても、眩しいと感じる。
それでも少しずつ、重い瞼を持ち上げる。
私の右手を包む手が、ビクッと揺れる。
「…美琴ちゃん?」
真っ白な天井から、視線を声の方へうつす。
「美琴ちゃん…!」
涙と鼻水でぐしゃぐしゃにした、ひどい顔の
「……じゅん、さ…ん」
私の愛しい人。
「美琴ちゃん…!!」
純さんがぼろぼろと涙をこぼす。
あーあ。
もう35にもなるおじさんが、泣きじゃくって大変なことになってる。