美琴ちゃん、大丈夫?
唯の策略、鳴り止まないストップウォッチ。
「美琴。」
授業が終わって優花と教室に帰ろうとしたところで唯に声をかけられた。
「このあと用事ある?」
「特にないけど。」
「じゃあ片付け変わって。」
「え、なんで?」
唯は体育委員。
諸々の道具を片付けるのが体育委員の仕事。
「優花と用事。」
「お?なになにー?」
優花が呑気に質問する。
「…」
優花とサボりたいだけだな?
…と思うけど。
毎朝一緒に登校してお邪魔虫してる私、こういう時ぐらい気を利かせてあげないとな。
「いいよ。今度クリームパン。」
私の大好物で手を打とう。
「承知。」
唯が倉庫の鍵を投げて、それをパシッと受け取る。
「じゃ。頑張って。」
唯が片側の口角を上げて笑った。
「…?」
唯が優花の手を取って体育館を後にする。
「ねー唯くん、どこいくの〜」
…バタン。
なんだろ、あの意味深な笑み。
まぁいいや。2人が仲良くて何より。
「さて。片付けますかね。」