美琴ちゃん、大丈夫?


「えっとー…。手伝うよ。俺も体育委員なんだ。」


「…いえ。大丈夫です。」


「でも、女子1人じゃ厳しいでしょ?」


「いえ、大丈夫です。」



ダメだ、頭が回らなくて機械みたいにセリフを繰り返してる。


「でも、」


「大丈夫です。」


大きいマットも余裕で、


「…っ」



…重!


思ったより重い。



でも、引きずってなら持っていける…!頑張れ私の筋肉!



「…」



フワッ。

軽くなる。




「2人でやった方がはやいよ。」




時山くんがマットの片側を持ち上げてくれた。


あぁ…やっぱり笑顔が可愛いです。




「…」



『ありがとう』





声が出なくて、首を縦に振った。






2人でマットを片付けて、他の小物類も順々に片付けていく。

特に口を開くことはせず

「これあっちに持ってくね」とか「あれもう持ってった?」とか時山くんが事務的なことを言って
それに私は首を上下左右に振るだけで、黙々と作業する。



本当に2人でやるとあっという間で、
残るは至る所に散らばってるストップウォッチを回収して終わりだ。



…時山くんと2人きりの時間は心臓にくる。


時山くんがそこにいると思うとそっちに意識がいっちゃって、ずっとバクバク、バクバク、うるさい。


早く終わらせちゃおう。



ストップウォッチをひとつずつ拾っていくと、
時山くんが目の前に立ちはだかった。




あ、わ、…眩しい。かっこいい。



「…柊さん。」

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