美琴ちゃん、大丈夫?
見事に煌びやかなパンリオの街。
「すごーい!時山くんやりこんでるねぇ〜」
「ふっふっふ。暇さえあればやってるからねー。あ、柊さんもポン介?」
「…うん。ポン介一択。」
「推し被りかー!」
時山くんもポン介好きなんだ。
なんか嬉しいな。
…あ!
「時山くんのポン介、車乗ってる…!」
「うん。ガチャ回しまくってゲットした。」
「これレアだよね?すごい…!」
「友達フォローしまくったおかげでガチャチケ貯まってさ。」
さすが時山くん…オンラインでもお友達たくさんいるんだなぁ。
私がジーッと見てると、時山くんがクスッと笑った。
「いる?車。」
「え、いいの?」
「うん。実はもう一台持ってんの。」
「欲しい!」
「じゃー…はい。ID。」
時山くんがスマホにうつるIDを私に見せる。
わ、これが、時山くんのID…!
数字の羅列を入力して検索すると、パッと時山くんのポン介が現れた。
『お友達になりますか?』
…
『はい』
ピロロン♪
時山くんのスマホが鳴った。
時山くんがススッと操作してマグロのポン介がうつる画面を見せた。
「いぇーい。お友達。」
クシャッとした、屈託ない笑顔。
…かわいいなぁ。
私もつられて顔が緩む。
「!」
時山くんがハッとしてそっぽを向いた。
まるで見ちゃいけないものを見た、みたいな。
「…?」
「…分かるよ、時山くん。至近距離で見る破壊力すごいよね?」
それまで珍しく黙ってた優花が表情を変えずに口を開いた。
「…それな」
時山くんが両手で顔を覆ったまま同意する。
「え、なに?大丈夫?」
「あ…いや……うん。大丈夫。」
時山くん、耳が赤くなってる…?
その時、頭上から鈴が鳴るような声が聞こえた。
「あ。いた、純。」