美琴ちゃん、大丈夫?
「なーにしてんの」
長谷川さん。
「おー、由月。」
制服をオシャレに着崩した長谷川さんはとてもいい匂いがして
近くに来るといやでもドキッとしてしまうような大人っぽさを纏ってる。
「なに?…あ、パンシテ?」
自然に時山くんの隣に座ってスマホを覗き込む。
…2人の距離、近い。
「うん。柊さんもパンシテやってんだって。」
時山くんが全く気にしない様子で長谷川さんにスマホを見せる。
「ホント?柊さん、フォローしていー?」
「あっ、うん」
「やった〜。純のフォロー欄から勝手にフォローさせてもらっちゃうね。」
そう言ってスマホを操作する手の指先はささくれひとつなく、
爪にはオシャレな色が塗られてて
少し俯く横顔は、まつ毛が長くてスルッと上がってる。
ホントにキレイな人だなぁ…。
それに対して私、
…誇らしげに居座る拳ダコ。
いつできたのかわからない膝小僧の青あざ。
…うぅ。
なんか気分が悪くなってきた。
キーンコーンカーンコーン…
「あら、予鈴!」
優花がすくっと立ち上がる。
「はい!解散、解さーん!時山くん長谷川さん、まったねぇ〜!」
優花がみんなの背中をテシテシして教室へと促した。
なぜか急かす優花に背中を押されながら、隣のクラスに戻る2人の背中に目を向けると
やけに近いその距離感に、
また胸がズキズキと痛んだ。