美琴ちゃん、大丈夫?
…行っちゃった。


もう笑いをこらえなくていいのはちょっと助かるけど。

寂しい。



「…ねぇ。そいつ彼女いるの?」


兄がフードをかぶったままソファに寝っ転がり、ぶっきらぼうに聞いてくる。


「…いない…と思う」



今日学校で見た時山君と長谷川さんの後ろ姿を思い出す。


なんとなく長谷川さんのパンシテを見てみたくなって、フォロワーのリストから『yuzu』を選択して行ってみる。



わ。

おしゃれ。


ウサギのぴょぴょんのキャラクターに合わせて、街をピンクと白で統一してるんだ。


…あ

時山君と同じ車。



「じゃあ美琴が彼女候補?」

兄が相変わらずの姿勢で聞いてくる。


私は女の子らしい可愛い街並みを見ながら答える。


「…んーん。別の好きな人、いるっぽい。」




時山君の好きな人は長谷川さんで



私は、



『いぇーい。お友達。』



…お友達。




「美琴が好きな人が、美琴を好きじゃないとかある?」






またこのシスコンはとんでもないことを言う。



「…あるよ、そりゃ。」



「そうかねぇ。お前ほど可愛い子はそういないけどね。」


いつの間にか近くにいた兄が、お兄ちゃんらしく微笑みながら私の頭をナデナデする。
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