美琴ちゃん、大丈夫?
「…もう、黙って。シスコンの兄の話は参考にならない。」

そう言って兄の手をどけると、


「あーん美琴ちゃんのいけずぅ」

兄が猫なで声で口を尖らせた。


「…」


フードから垂れ下がる二つの紐を思い切り引っ張ると、直径5センチくらいになる兄の顔。


「ちょ…!!ちょっと美琴ちゃん!なにすんのよ!」


「あ、ごめん。ムカつく顔してたから、つい。」


「ムカつく顔って何?兄にそんな顔の時ある?」


「常に。」


「…常に?」


「常に。」



ピロロン♪



私のスマホが新たな通知を告げた。




『キヨマサにフォローされました』


…?



「キヨマサ…?」


兄もスマホを覗き込んで呟いた。


私が首をかしげると兄がおもむろにススッと操作した。




ピロロン♪



『キヨマサをフォローしました』



「!!」


「兄!ちょっと!」


「えっダメだった?」


「ダメ…ではないかな?でもこの人、誰だろ…」


「美琴よ。なるべくストックしといたほうがいいんだぞ。あとで選べるんだから。」


「何言ってんの?」


「お前はな、選ばれるほうじゃなくて選んでやる側の立場なんだぞ。」


「だから何言ってんの?」
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