美琴ちゃん、大丈夫?
『音楽室に来て。オフレコで。』
…以上。
私の心臓が、大きく大きく、脈打ち始める。
なに?
なんで突然?音楽室?
何か話があるのかな…
全然理由が想像できない。
…でも。
どんな理由にせよ時山君が私をよんでくれたということが、嬉しい。
すごく、嬉しい。
やっぱりわたしは時山君に会いたかったんだって実感する。
私は『分かった。今から行くね。』と返信してすぐ、特別教室棟にある音楽室へ向かった。
音楽室は3階に上がって美術室、視聴覚室、家庭科室を通り過ぎて、その隣。
廊下には人が全くいなくて、ずいぶん遠くのほうで生徒たちのはしゃぐ声がする。
ドキドキしながら音楽室のドア前に立った。
深呼吸してから音楽室の重たいドアを開ける。
ギィ…
う。左手だけだとちょっと大変。
足も駆使してなんとか入る。
…静かだ。
階段上に並んだ机と椅子。
大きな黒板と、存在感のあるグランドピアノ。
頭上から音楽の偉人たちが私を見つめてる。
静まり返る音楽室は電気も点いてなくて、暗い。
「時山君…?」
その時、後ろに気配を感じた。
「!?」