美琴ちゃん、大丈夫?
意識が飛びそうになった時だった。
柊さんが雄叫びにも似た叫び声をあげた後、
大きな大きな金属の破裂音が準備室に響き渡った。
「……おいおい…嘘だろ…」
柊さんが長いサラサラの髪をなびかせて、ゆらりと立ち上がる。
鎖のちぎれた手錠を手首に下げたまま、口に貼られたガムテープをゆっくり剥がして、捨てた。
手錠が強く食い込んだせいで、手首には血が滲んでる。
「…」
柊さんは何も言わずに腰が抜けたらしい内田をじ…と見ながら、ゆっくり歩み寄る。
「お、おい!太田!根岸!」
「え!」
「こっちにはバットがあるんだぞ!それに右腕使えねーはずだ!早く!!」
「お、おう!」
「うおおーーーー!!」
呼ばれた2人がビビりながら柊さんに向かってバットを振りかぶる。
柊さんはそれを難なくよけて、どうやってやったのかわからないぐらいのスピードで2人の手からバットを離させた。
1人は思い切り頭突きしてから肘を入れ、もう1人にはみぞおちに重そうな蹴り、からの回し蹴りをくらわす。
2人がグシャッ…とそこに倒れた。
「…」