美琴ちゃん、大丈夫?
「時山君!大丈夫?」


「…っ、」

時山君は喋るのがつらいみたいでただ小さく頷いて、
弱々しい声で「腕…」と心配そうに私を見た。



…そうだ。

私の治りかけてた腕、バットで…


あれ?…痛みを感じない。





そこで寺田先生を連れて優花が戻ってきた。



寺田先生は準備室の惨状に目を見張った。


「どういうことだこれ……。時山!大丈夫か!?」


先生がボロボロの時山君に驚いて駆け寄る。




私が襲われたこと、助けに来てくれた時山君がバットで何度も殴られたことを伝えると、いつも温厚な寺田先生が今までに見たことない表情で3人を睨みつける。



「…分かった。事情はまた後で聞く。ひとまず時山、保健室行ってこい。九条。柊と一緒に行けるか?」


「うぃす。」


「羽根村、悪いけど職員室にいる学年主任と体育の先生呼んできてくれるか。」


そう言って寺田先生はそこに落ちてるバットを拾って3人の前にドシッと腰を下ろした。






「君たち。一歩でも動いたら頭かち割りますからね。」





「…!」



バットを肩に担ぎ、いつもの先生口調で暴言を吐く寺田先生。



その悪魔的な笑顔に、そこにいる誰もが身震いした。





「二重人格…」


時山君を背負いながら唯が呟いた。






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