振られた私を御曹司が拾ってくれました。
「…これは、これは、遠いところまで、よくお越しくださいましたね…氷室専務。」
後ろから声を掛けたのは、アジームだ。
駿はすぐに振り返り、アジームを睨むように厳しい表情をした。
「アジームさん、なぜ、琴音をここまで連れて来たのですか。」
アジームは駿の言葉を聞いて、なぜかクスクスと笑っている。
「あなた達がここまで来ることは分かっていましたよ。あまりにも思っていた通りに動いてくれるので、ちょっと可笑しくなってしまってね。」
駿はアジームをさらに睨みつけた。
「思った通りとは、どういう事なんだ。」
「氷室専務、そんなに恐い顔しないで、お話しましょうよ。」