振られた私を御曹司が拾ってくれました。

二階堂晴臣が駿の肩に手を置こうとした時、アジームはその晴臣の手を横から掴んだ。


「二階堂さん、この状況で立場が分かっていないのは、あなたの方ではありませんか?」

「なっ…何を言っているんだ君は!失礼だろ。」


晴臣は掴まれた手を振りほどいて、アジームを睨んだ。
すると、アジームはクスッと微かな笑いを浮べた。


「二階堂さん、僕が何も知らないと思っているのですか?あなたの計画は僕の部下が全部調べているんだ。おいしい儲け話を餌にして、随分お金を集めているようですね。」

「…なんだと!そんな出まかせを…証拠でもあるのか?」


アジームはジャケットの内ポケットから小さな黒い箱を取り出した。
そしてその箱のスイッチを押すと、何か音が出ている。
よく聞くと、男性と女性が話をしているようだ。
この箱はボイスレコーダーだ。


その声を聞いて、何故か二階堂祥子がすごい勢いで走り近づいてきた。
そしてアジームのボイスレコーダーを奪おうと掴みかかった。


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