振られた私を御曹司が拾ってくれました。
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「葉月さん、ちょっと良いかな?」
スイーツ開発部の課長から声を掛けられた。
「課長、お呼びでしょうか。」
私は急ぎ、課長のデスクの前に立った。
「今週の金曜日に、氷室専務が就任したパーティーが行われるんだ。各部署から数名ずつ参加しろとのことなんだけど、葉月さん都合はどうかな?」
「金曜日でしたら参加できます。私でよろしければ出席させていただきます。」
「よかったよ…今週末はスイーツ部門の展示会も重なっていたから、参加できるメンバーを探していたんだよ…お願いするよ。」
スイーツ部門の展示会は私も行きたかったが、彼と出かける予定があったので前もって断っていたのだ。
もう出かける予定も何もない。パーティーでもなんでも参加可能だ。
氷室専務の就任パーティーは、各部署から数名と言っても、本社以外の人達も沢山参加するので、数百名にものぼる参加者で行われる予定だ。
平社員の私なんかは、適当に端にいれば良いだけだろう。
「琴音いいなぁ…私も氷室専務の就任パーティーがあるなら、展示会に参加にしなかったのに…」
美優は口を尖らして、文句を言っている。
「美優、こんなに大人数のパーティーだから、平社員の私達は氷室専務に挨拶すら出来ないと思うよ…遠くから少し見えるくらいだよ…」
「ふぅ~ん。そうかも知れないけど、遠くから見るだけでも目の保養だよ…」
これだけ大きなパーティーなので、挨拶だけでもできたならば、ラッキーなくらいだと思う。
ただ、ほんの僅かだけれど、氷室専務と、もし話が出来たなら、先日の御礼くらいは伝えたいと思っていた。