振られた私を御曹司が拾ってくれました。
「ただいま戻りました!」
「琴音、お帰りなさい。」
日本に戻った私は、駿のマンションに戻って来た。
桐生さんの家にお世話になってから、早いものでもう2か月以上の月日が経っていた。
駿は、まだ玄関にいる私をハグして持ち上げた。
そして、くるくると回転する。
「…駿、目が回りそう。」
そっと私を床に降ろした駿は、私の頬を両手で包んだ。
真っすぐ私を見つめる駿の瞳に、私の顔が写っている。
「…琴音、目を閉じて。」
目を閉じると、私の唇に柔らかい感触。
駿の唇が私の唇に触れている。
ただ触れるだけの優しい口づけなのに、駿の体温を感じて心地よい。
体が唇から溶けていきそうだ。
駿は唇を離して、もう一度私を真っすぐ見た。
「琴音、やっと君に伝えられる言葉があるんだ。」
端正な美しい駿の顔が近くて、なんだか恥ずかしい。
顔が熱くなる。
「琴音、愛している。ずっと僕のそばにいてくれる?」
駿は少し心配そうな瞳で私を覗き込んだ。
子犬のような不安な瞳が可愛く感じてしまう。
「…はい。ずっと…ずっとそばに置いてください。」
駿は返事を聞くと、私を力いっぱい抱きしめた。
骨が軋むほどの力で抱きしめられて、少し痛みがあっても嬉しい痛みだ。