振られた私を御曹司が拾ってくれました。
「琴音、これから少し忙しくなりそうなんだ。寂しい思いをするかも知れないが、許してくれ。」
駿はリビングに座り、珈琲を飲みながら不安そうな表情をした。
「駿、私は頼りないかもしれないけれど、駿を支えるってお父様にも約束したんだよ。寂しいなんて思わないから、安心してね…駿を信じているから。」
「…琴音、ありがとう。」
その日以降、駿は本当に忙しくなった。
父親である社長が退き、その重責が駿の肩に乗ることになったのだから無理もない。
おまけに、アジームと約束したアラブのスイーツ工場も進めなくてはならない。
やることは山積みだ。
駿が倒れてしまわないかと心配するくらいだ。