振られた私を御曹司が拾ってくれました。

駿と私が付き合っていることは、同期の美優以外はまだ知らない。
当然のことながら、駿が部屋から出ていくと大変な事になっていた。


「葉月さん、なぜ氷室社長と親しいの?」
「いつの間に、氷室社長と話すようになったの?」
「…まさか、付き合っていないよね?」


私は質問攻めで、もみくちゃになりそうだ。
すると、美優が近づき私の腕を掴んだ。そして次の瞬間、勢いよく私を引っ張り走り出した。


「もう…琴音は、逃げるの下手過ぎ!」

「美優、ありがとう。助かった!」

「はい、これは琴音の鞄だよ。もし忘れ物あれば預かっておくから、心配しないでね。」


美優は見た目よりもしっかりしている女性だ。
私の鞄まで持ってきてくれたのだ。
そして、地下の駐車場にたどりつくと、美優は私にハグをした。


「琴音、幸せになってね。」

「…美優、嬉しいけど、なんだか大袈裟だよ。」


美優はその場でヒラヒラと手を振った。
何かいつもと様子は違うが、私も美優に手を振って、駿の待つ車へと急いだ。

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