振られた私を御曹司が拾ってくれました。

駐車場の奥へと進むと、車の前に駿が立っていた。
そして、ここだとばかり手を上げている。


「駿、お待たせしました。」

「うん。じゃあ、行こうか。」


駿は運転席に乗り込んだ。
今日は運転手の清水さんが運転するのではなく、駿が自分で運転するようだ。

私は駿の隣に乗って、駿の顔を見る。
駿はいつも運転する時に眼鏡をかける。久しぶりに見る駿の運転する横顔。
思わず見惚れてしまいそうになる。


「琴音、そんなに見られると、穴が開きそうだよ。」


駿は珍しく照れているのか、頬が赤く見える。


「…私の彼は、素敵だなぁと思って見てました。」


私は照れている駿に少し悪戯に言ってみた。
すると、さらに駿は耳まで赤くなっている。なんだか駿が可愛く見えてしまう。


「…駿、ところで、どこに向かっているの?」

「内緒だよ。着いたらきっと琴音も驚くよ。」


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