振られた私を御曹司が拾ってくれました。
『氷室専務、就任おめでとうございます。』
ここは都内ホテルの大広間、今日はこの場所で氷室専務の就任パーティーが行われる。
天井には上品だけれど、華やかなシャンデリアがキラキラと輝いている。
そして、会場の壁一面には、他社などから送られた胡蝶蘭や盛花が、これでもかとばかり並んで置かれている。すごい数だ。
立食パーティーのため、会場の中央に豪華な料理の数々。
色とりどりの料理には、生花が散りばめられ、美しく盛り付けられている。
そして料理のまわりには、氷の彫刻も飾られて、さらに華を添えている。
その彫刻は、猛々しい虎と、飛び立ちそうな鳳凰だろうか、縁起も良さそうだ。
とても盛大で華やかなパーティーだ。
さすが、次期社長と言われる氷室専務の就任パーティーだ。
かなり大人数の参加者とは聞いていたが、これは思った以上の人数だ。
社内だけではなく、社外の取引先などからもお祝いに駆けつけている。
スーツ姿の男性達とは対照的に、華やかなドレスの女性達もあちらこちらに目を惹く。
専務狙いの女性も多いのだろう。かなり気合が入っているように見える。
私は、会場で浮かない程度に、紺色のシンプルなワンピースだ。
あまりの人の多さに人酔いしそうだ。
酸素が薄くなって、窒息しそうな気分になる。