振られた私を御曹司が拾ってくれました。


「葉月さん、今週中に新しいスイーツの試作品を上に(審査会議)出す準備は、大丈夫かい?」


私に声を掛けたのは、スイーツ開発部の課長だ。

今週は新製品のスイーツを幹部に審査してもらう大切な審査会議が行われる。そのため、みんなバタバタと忙しくしていた。


「はい。予定では明日にも試作品が上がってくるので、間に合うと思います。」

「そうか、今回は初めて氷室専務も、審査会議に立ち会うそうだよ。気を引き締めてくれよ。失敗は許されないからな。」


氷室専務の名前が出ると、急に心臓がドクンと鳴る。

急にルームシェアの話を思い出した。


(…まさかね。もうシェアの話は忘れているかも…)



審査会議当日。

会場となる会議室に、今日のために用意した試作品のスイーツをテーブルに並べる。今回はイチゴを中心にした “いちごフェア” のラインナップだ。

いちごを挟んだ和菓子風のスイーツや、クッキー生地にいちごを練り込んだ、ピンク色のクッキー、イチゴのチョコレートでコーティングしたケーキ等、見ているだけでも美味しそうで幸せな気持ちになる。


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