振られた私を御曹司が拾ってくれました。
「琴音は本当にスイーツが大好きだよね。」
美優が私の様子を見て、声を掛けてきた。
「うん。スイーツを見ていると、幸せな気持ちになるんだ。だから、このスイーツを食べた人も、幸せを感じてくれたら嬉しいなって、いつも思っているんだ。美優は大袈裟だって、言うかも知れないけどね。」
すると、美優はふ~っと大きくため息をつく。
「スイーツで幸せねぇ…琴音はもっと幸せに貪欲になりなよ…あんな辛い思いしたのだから、今度はスイーツ以外でも幸せになるべきだよ。」
「美優、ありがとう。でもスイーツを見ると本当に幸せな気持ちになるんだよ。」
美優は首をすくめて、笑って見せた。
すると、私達の後ろから誰かが手を叩いている音がした。
驚いて振り返ると、そこには氷室専務が立っていた。
そして、こちらに向かって拍手をしている。
氷室専務に話を聞かれてしまったようだ。スイーツ愛を熱く語ってしまった自分が恥ずかしくなる。
「葉月さん、そんな風に商品を大切に愛おしく思うなんて素敵だね…きっとその気持ちは、その商品を手にした人に伝わると思うよ。」
「氷室専務、…ありがとうございます。」
氷室専務が通り過ぎると、美優が私の耳元で囁いた。
少し悪戯な表情をしている。
「琴音、良かったね…やっぱり、運命かもよ。」
美優の言葉に顔が一気に熱くなった。