振られた私を御曹司が拾ってくれました。
「そうだ!葉月さん、お礼を僕に言うのなら、あの話は了承してもらおうかな。」
「あの話…とは?」
「もちろん、ルームシェアの話だよ。…では決まりだな。そうだ、ちょうど良いから、今日の帰りに部屋を見に来るといい。後で桐生に迎えに行かせるよ。」
氷室専務は、私に有無を言わせず、勝手にどんどん決めているようだ。
あの人は本気なのだろうか。
(…まさか、本当にルームシェアするつもりなの?どうしよう…)
就業時間が間もなく終わろうとする頃、秘書の桐生さんが本当にスイーツ開発部に入って来た。
そしてまっすぐ私の方へ近づいてくる。
「葉月さん、氷室専務から言われてお迎えに参りましたよ。ご準備はよろしいでしょうか?」