振られた私を御曹司が拾ってくれました。
運転手の清水さんは、荷物を持ち上げて、私に笑顔を向けてくれる。
「私は、駿君が小さいころから運転手をしているのです。だから、今回はとても嬉しいのですよ。」
清水さんの言っている意味が分からず、聞き返してみた。
「嬉しいというのは、どういう意味でしょうか?」
すると、清水さんは優しく目を細めた。
「駿君は、あのルックスだから昔から女性にはモテました。でも駿君は、まるで女性に興味が無いようで…少し心配していたのです。でもあなたに出会ってからは、とても楽しそうで、安心しました。」
「ち…ち…違いますよ。私は、ただルームシェアだけなんです。」
焦る私を見て、清水さんはハッハッハと大きく口を開けて笑った。
「あなたは本当に純粋な人ですね。駿君のお気に入りの理由が分かります。」
どうやら清水さんも、メイドのお二人も誤解している。
私はご飯を作ることを引き換えに、同居させてもらうだけなのに、信じてはもらえないようだ。