振られた私を御曹司が拾ってくれました。
泣いても、泣いても涙が止まらない。
公園のベンチは冷たく冷え切っている。
たまに強く吹く風が、頬に突き刺さり、ジンジンと痛みが出て来た。
寒さで体がカタカタと震え始める。
「…もう、凍死してもいいや…もうどうでもいい…」
私はベンチにコトンと倒れて、目を閉じた。
寒さのせいか、体がだんだんと麻痺してくる。
なぜか、少し眠くなってきた。
「…眠いな…寝てしまおう…」
冷たいベンチがなぜか気持ちよく感じていた。
私はそのまま眠ってしまったようだ。
私はその時、夢を見ていた。
眠りについた私を、馬に乗った王子様が抱き起こし、キスをして起こしてくれる夢だ。
あまりにも御伽話のような夢に、夢の中でも苦笑した。
どれくらい、そこに居たのだろう…微かに誰かの声が聞こえる…。
「おい…おい…大丈夫か…起きろよ!」
誰かが私の腕を掴んで、起こそうとしている。
でも、なぜか目が開けられない…私は死んじゃうのかな…。
そのまま私は意識を手放した。