振られた私を御曹司が拾ってくれました。
好きになってしまうかも
「それでは、琴音と今日から同居のお祝だな…乾杯。」
駿はワイングラスに白ワインを注ぎ、グラスを持ち上げた。
「これからお世話になります。よろしくお願いします。」
私はグラスを持ち上げて、頭を下げた。
すると、駿はグラスのワインを、ゴクリと一口飲み込んで微笑んだ。
駿の微笑んだ顔を見ると、急に心臓がうるさく鳴りだし、顔が熱くなる。
こんなにも素敵な駿と、同居なんて心臓が持つのだろうか。
スーパーマーケットで購入したチーズの他に、私はアスパラをぐるぐるとベーコンで巻き、カリカリになるまで焼いたおつまみも作っていた。胡椒を効かせた、大人の味付けだ。
駿はアスパラのベーコン巻きを、パクリと口に入れて、口角を上げる。
「美味い!琴音は本当に料理が上手だな。こんなに美味しい食事が食べられるなんて、僕は幸せ者だな。」
お世辞かも知れないが、顔をクシャっと笑顔にして喜んでくれる駿を見ると、私も嬉しくなる。
ただ、嬉しく幸せと思う反面、不安も頭を過った。
…私、駿を好きになってしまうかも知れない。どうしよう。
しかし、それは絶対にあってはならない事だ。