振られた私を御曹司が拾ってくれました。
(…私は、駿をこれ以上好きになってはいけない。…)
自分の気持ちを封印するように言い聞かせる。
駿は、こんなに近くに居ても、会社では専務であり、次期社長とも言われている人物だ。
駿とは住む世界が違い過いすぎる。手の届かない人だと忘れてはいけないのだ。
「琴音、どうかしたのか?急に元気がなくなったようだが、大丈夫か?」
「い…いえ、ちょっと引っ越しで疲れたみたいです。心配かけて申し訳ございません。」
駿に心配されて、ハッとした。
こんなことでは、同居する駿に迷惑をかけてしまう。
駿を好きになるなんて、考えてはいけない事だ。