振られた私を御曹司が拾ってくれました。
「駿、このワインはスッキリしていて、飲みやすいですね。」
「そうだね、このワインは初めてだけど、甘すぎずちょうどいいな…美味しい料理と、美味しいお酒…幸せだな。」
その日は、いつも以上にお酒が進んでいたようだ。
…微かに遠くで鳥の鳴く声がする…朝なのかな…
朝の気配にゆっくりと目を開けると、見慣れない天井が見える。
(…そうだ、私は昨日、引っ越ししたんだ。でも、私の部屋はこんな天井だったかな…)
私は、起き上がろうとして、横を何気なく見た。
「…な…なんで!」
思わず大きな声を出してしまった。
私の横には、駿が寝ている。そして、なぜか私は駿の腕に頭を乗せていたようだ。
(…う…腕まくらで…寝ていたの?…私…どうして…)
驚きすぎて、頭が回らない。
「琴音…おはよう。」
私が声を出してしまったので、駿が目を覚ましてしまった。
すこし眠そうな駿の顔。長いまつ毛にスッと通った高い鼻。近くで見ても美しく整った端正な顔だちに、思わず見惚れてしまいそうになる。
「あの…私…どうして…一緒に寝ているのでしょうか?」
私の問いかけに、駿は片眉と口角を上げて、少し意地悪な微笑を浮べた。
「昨日の琴音は可愛かったな…僕のベッドに潜り込んで来たんだ。驚いたけど、僕はいつでも歓迎だよ。」
「…ほ…本当に…私は…そんなことを…ゴメンナサイ!」
私は急いでベッドで起き上がった。
慌てて自分の服を確認すると、昨日着ていた服を、ちゃんと着ている。駿とは何もなかったようで、安心する。
すると、駿は横でクスクスと笑い出した。