振られた私を御曹司が拾ってくれました。


「琴音、また何か私に隠しているでしょ?」


お昼休み、天気も良いので、美優と私は屋上のベンチに腰かけて、ランチを食べていた。
会社の屋上は、休憩ができるように、ベンチと机がいくつか用意されている。
屋上の中央は花壇になっていて、四季折々の花が咲くようになっていた。
冬である今は、ガーデンシクラメンや紫のパンジーが可愛く咲いている。
私のお気に入りの場所でもある。

美優は、サンドイッチをパクリと齧ると、疑うように目を細めた。


「美優、べ…別に…なにも隠してないよ。」


駿と同居の件は、まだ美優にも言っていない。
言っていないというよりは、言えないのが正解だ。

自分でもなぜ同居しているのか、まだよく分かっていない。
そのため、美優に何と伝えたらよいのか分からないのだ。


「琴音…なんか怪しいよね…氷室専務がらみで、隠し事があるでしょ…」


美優はなぜか、勘が鋭いのだ。しかし、同居の件は、しばらく内緒にすることにした。


< 46 / 128 >

この作品をシェア

pagetop